前日から天橋立を観光した次の日。

旅行最終日
文珠荘で豪華な朝食をいただく
ぐっすりと眠って迎えた翌朝、楽しみの一つでもあった「文珠荘」の朝食をいただきました。
テーブルに並んだのは、地元の新鮮な食材をふんだんに使った、体にじんわりと染み渡るような和朝食。丁寧に作られた小鉢や、ふっくらと焼き上げられた干物など、一つひとつの料理からお宿のこだわりが伝わってきます。静かな運河を眺めながら、炊き立ての白いご飯と一緒に味わう朝のひとときは、まさに旅先ならではの贅沢。一日の活力をしっかりとチャージできる、最高に美味しい朝のご飯でした。

昨夜あんなに「お腹がはち切れそう」と言っていたはずなのに、炊き立てのご飯の香りと、出汁の優しい匂いに誘われると、不思議と食欲が湧いてくるから不思議です。

昨日は遠目から眺めるだけだった「廻旋橋(かいせんきょう)」。天橋立と文殊エリアを結ぶこの橋は、船が通るたびに橋桁が90度旋回するという、全国的にも珍しい仕掛け橋です。
昨日回っているところ見れなかった廻旋橋をみに行く

昨日の散策中にはタイミングが合わず、動いている様子を見られなかったのですが、調べてみると曜日や時間帯によって回転するスケジュールが決まっているとのこと。この日はちょうど午前9時55分に、大型の船が通過するために橋が回るという情報をキャッチしました。
「これは絶対に見逃せない!」と、朝食を終えて早々に宿をチェックアウト。予定時間の数分前には、橋の動きが最もダイナミックに見える特等席を確保して、カメラを構えてスタンバイしました。刻一刻と迫る時間に、周りに集まった観光客の間にも「そろそろかな?」という期待感が漂います。歴史ある知恵の輪灯籠を背に、水路の先からやってくる船の影をじっと待ち構える、ワクワクするようなひとときでした。

いよいよ待ちに待った瞬間が訪れました。9時55分ちょうど、静かだった廻旋橋が「ガガガ…」と音を立て、ゆっくりとその巨体を回転させ始めたのです。昨日遠くから眺めていた景色が、目の前でダイナミックに姿を変えていく様子は、まさに圧巻の一言でした。
橋が90度回転し、水路が完全に開くと、そこへ待ち構えていたかのように一隻の船が堂々と運河へ入ってきました。 狭い運河を大きな船が通り抜けていく光景は、まるでお互いが呼吸を合わせているかのような阿吽の呼吸。水面を滑るように進む船と、それを道を開けて見守る橋……天橋立ならではの、どこか情緒あふれる独特な光景に、周囲で見守っていた観光客からも「おおっ」という感嘆の声が上がります。

無事に船が通り過ぎると、役目を終えた橋は再びゆっくりと元の場所へ。日常の風景の中に、こんなに大掛かりな仕掛けが溶け込んでいる面白さを肌で感じることができ、早起きしてスタンバイした甲斐がありました。
実は、ひそかに「橋が動いている最中に、その上に乗っていられたらスリル満点だろうな……」なんて不埒なことを考えていたのですが、当然ながらそれは叶わぬ願い。橋が回転し始める前には、しっかりと安全確認が行われ、動いている間は橋の上に立ち入ることはできません。
よく考えれば、もし誰も管理していない状態で勝手に橋が回り出したりしたら、それこそ大事故に繋がりかねない超危険スポットになってしまいますよね(笑)。しっかりとルールが守られているからこそ、私たちはこの珍しい光景を安心して眺めていられるわけです。橋がピタリと元の位置に収まり、再び人が渡れるようになった瞬間を見届けて、現代の技術と歴史が混ざり合った不思議な安心感に包まれました。
天橋立といえば天橋立ビューランド
廻旋橋が元の位置に戻るのを見届けた後は、いよいよ旅の締めくくりに向けて移動開始です。まずは帰りの足となる電車の時間をチェックするため、駅へと向かい無事に切符を購入。少し名残惜しさはありますが、最後にもう一つの絶景を拝むべく、「天橋立ビューランド」を目指しました。
こちらも駅から非常にアクセスが良く、歩いて10分もかからないほどの距離にリフト・モノレールの乗り場がありました。昨日の府中駅側(傘松公園)に続き、今日はこちら側からの景色を楽しむプランです。
天橋立には「北側」と「南側」のそれぞれに展望スポットがありますが、駅からすぐの場所にあるビューランドは、移動の合間にも立ち寄りやすいのが嬉しいポイント。昨日歩いた松並木を今度は反対側の高い位置から眺められると思うと、リフトに乗り込む足取りも自然と軽くなりました。


リフトに揺られて山頂に到着すると、そこには「天橋立ビューランド」の名にふさわしい、どこか懐かしい雰囲気の遊園地が広がっていました。絶景スポットとして有名な場所ですが、展望台だけでなく、観覧車やゴーカートといった可愛らしい乗り物たちが点在しており、大人も童心に帰れるような空間です。
驚いたのは、そのリーズナブルな料金設定。園内のアトラクションは、それぞれ1回400円という手軽さで楽しむことができます。最近の大型テーマパークとは一味違う、この親しみやすい価格設定が嬉しいですよね。

せっかくなので、絶景を眺めるだけでなく何か一つ乗ってみようかな……という気分にさせてくれます。青い空と海をバックに回る観覧車は、それ自体がフォトジェニックで、家族連れやカップルたちが思い思いに楽しんでいる姿が印象的でした。景色を楽しむ「静」の時間と、遊具で遊ぶ「動」の時間が共存する、とても素敵な山頂パークです。
園内をぐるりと見渡して、一番の人気アトラクションである「サイクルカー」に挑戦することにしました。地上数メートルの高さに設置されたレールの上を、自分でペダルを漕いで進む乗り物なのですが、これが意外とスリル満点!空中散歩をしているような感覚で、天橋立の絶景を特等席から眺めることができます。

ただ、さすがは一番人気とあって、進み具合はかなりのスローペース。というのも、レールの上があまりの絶景ポイントすぎるため、前を走る人たちが皆一様にスマホやカメラを構えて写真撮影に夢中になっているんです。
「おっと、ここで渋滞か!」と思わず笑ってしまいましたが、気持ちは痛いほどよく分かります。目の前に広がる「飛龍観(ひりゅうかん)」の美しさを前にしたら、誰だって足を止めてシャッターを切りたくなりますよね。ゆっくりと進むサイクルカーに揺られながら、私たちも後ろを気にしつつ、今しか見られないパノラマビューをじっくりと目に焼き付けました。
手元には、最初にあらかじめ購入しておいた400円のチケットが4枚。サイクルカーを楽しんだ後もまだチケットが残っていたので、「せっかくならもう一つ何か体験して帰ろう!」ということになりました。
園内を散策しながら奥の方へと進んでいくと、目に飛び込んできたのは少し珍しい「アーチェリー」の体験コーナーです。遊園地のアトラクションとはまた一味違う、どこか本格的な雰囲気に惹かれ、迷わず挑戦してみることにしました。

絶景をバックに弓を構えるというシチュエーションは、なかなか他では味わえない贅沢な体験です。的に向かって全神経を集中させ、弦をギリギリと引き絞る瞬間は、先ほどまでののんびりした観光気分とは打って変わって心地よい緊張感が走ります。
「えいっ!」と放った矢が風を切って飛んでいく爽快感は格別で、思わず時間を忘れて熱中してしまいました。ビューランドの賑やかなエリアから少し離れた場所で、静かに集中して楽しむアクティビティは、旅の締めくくりにふさわしい素敵なスパイスとなりました。
アーチェリーのすぐ近くには、温泉街や遊園地の定番ともいえる「射的」のコーナーもありました。こちらはチケット制ではなく、500円で10発ほど遊べるというシステム。昔懐かしい雰囲気に誘われて、景品ゲットを目指して挑戦してみることにしました。

ルールはシンプルで、コルク弾を的に当て、おもちゃに付いている**「吊り下げ用の紙」を撃ち破れば**景品が手に入るというもの。慎重に銃を構え、狙いを定めて「バンッ!」と引き金を引きます。弾は見事に命中し、カツンと良い音が響いたのですが……。
ところが、肝心の紙が想像以上にタフで頑丈(笑)。 何発か命中させても、表面にかすり傷が付く程度で、破れる気配が微塵もありません。「これ、本当に紙なのかな?」と疑いたくなるほどの鉄壁の守りに、思わず苦笑い。何度か食い下がってみたものの、最後には「これはかなりの神業か運が必要だ……」と悟り、潔く諦めることにしました。景品は手に入りませんでしたが、あの独特の緊張感と「次こそは!」と熱くなる感覚も含めて、旅の面白い思い出の一コマとなりました。
アサリ丼をいただく
天橋立ビューランドでの空中散歩と遊びを心ゆくまで満喫し、時計を見るとちょうどお昼どき。名残惜しさを感じつつも、再び開放感たっぷりのリフトに揺られて下山することにしました。上りの時とはまた違い、目の前に広がる海と松並木に向かって降りていく感覚は、何度味わっても最高に気持ちがいいものです。

地上に戻り、真っ先に向かったのは昨日から心に決めていたあの場所。天橋立の松並木の中にひっそりと佇む、風情あるお食事処です。昨日の散策中にその存在を知り、「明日は絶対にここで食べるんだ!」と固く誓っていた、念願の「あさり丼」をいただくことにしました。
お店の暖簾をくぐると、食欲をそそる出汁の香りがふんわりと漂ってきます。注文して運ばれてきたのは、丼を埋め尽くさんばかりにふっくらとした身のあさりがどっさり乗った一杯。 ひと口食べれば、貝の濃厚な旨味と優しいお出汁の風味が口いっぱいに広がり、歩き疲れた体にじんわりと染み渡ります。
「昨日、素通りしなくて本当に良かった!」と心から思えるほどの美味しさ。天橋立の景色を味覚でも堪能し、お腹も心もこれ以上ないほど満たされた、大満足のランチタイムとなりました。


お店の窓側に席をとり、目の前に広がる天橋立の松並木と穏やかな海を眺めながらいただくあさり丼は、まさに格別という言葉がぴったりでした。ただでさえ美味しい地元の名物が、この贅沢なロケーションという最高のスパイスによって、さらに何倍にも美味しく感じられます。
お箸を進めるたびに、窓の外を流れる心地よい景色が目に飛び込んできて、まるで自然の一部に溶け込みながら食事を楽しんでいるような気分になりました。慌ただしい日常を忘れ、美しい風景を独り占めしながら味わう至福のひととき。「あぁ、この場所で、この景色を見ながら食べて本当に良かった」と、噛み締めるほどに幸せが広がる、今回の旅を締めくくるにふさわしい最高のランチタイムとなりました。


こちらはアサリのお粥です。
廻旋橋が見えるおしゃれなカフェでティータイム
あさり丼で存分にお腹を満たした後は、やはり旅に欠かせない「別腹」の時間。食後の余韻に浸るべく、甘味を求めてカフェへと向かいました。
選んだのは、先ほどダイナミックな動きを見せてくれた廻旋橋のすぐそばに佇むカフェです。このお店の最大の魅力は、なんといってもそのロケーション。窓際の席からは、運河に架かる廻旋橋を特等席から眺めることができるんです。橋を行き交う人々や、時折通り過ぎる船をぼんやりと眺めながら過ごす時間は、まさに旅の醍醐味ともいえる贅沢なひとときでした。

落ち着いた和の趣を感じる店内で、お目当ての甘味を注文。運ばれてきたスイーツを一口いただけば、歩き疲れた体に優しい甘さがじんわりと広がります。美味しいお菓子を味わいながら、今日歩いたルートを振り返ったり、動く橋の様子を思い出したり……。
目の前を流れる穏やかな運河の景色が、最高のデコレーションになってくれました。観光名所のすぐそばにありながら、喧騒を忘れてホッと一息つける、まさに隠れ家のような絶景カフェ。 最後にこんなに素敵な場所で一休みできたことで、今回の天橋立旅行の満足度がさらに一段と高まりました。




店内に漂う香ばしいコーヒーの香りに誘われ、運良く空いていたテラス席を確保できました。目の前には、先ほど間近で感動したあの廻旋橋がどっしりと鎮座しています。心地よい川風を感じながら、丁寧に淹れられたコーヒーと、甘美なケーキをいただく時間は、まさに旅のご褒美そのものでした。

このカフェの最大の魅力は、なんといってもその眺望です。テラスに座ってゆっくりと寛いでいると、タイミングが良ければ目の前で橋がダイナミックに回転する様子を、特等席から眺めることができるんです。コーヒーの湯気の向こう側で、歴史ある橋が静かに動き出す光景は、他では決して味わえないここだけの贅沢。
美味しいスイーツに舌鼓を打ちつつ、運河を行き交う船や橋の動きをぼんやりと眺めていると、時間が経つのも忘れてしまいそうになります。まさに、天橋立の「動」と「静」を同時に楽しめる、知る人ぞ知る絶景スポット。旅の締めくくりにふさわしい、穏やかで満ち足りたティータイムとなりました。
京都へと戻る
絶景、美食、そして楽しいアクティビティと、一泊二日の天橋立旅行をこれ以上ないほど満喫し、いよいよ帰路につく時間がやってきました。名残惜しさはありましたが、心もお腹もパンパンに満たされた状態で、まずは丹後鉄道と特急を乗り継いで京都駅へと戻ります。

京都駅に到着すると、そこからは旅の最終ランナーである東海道新幹線に乗り換えです。ホームに滑り込んできた新幹線に乗り込み、座席に深く腰を下ろすと、ようやく心地よい旅の疲れがどっと押し寄せてきました。車窓を流れる景色をぼんやりと眺めながら、昨夜食べた豪華なカニの味や、目の前でダイナミックに回った廻旋橋の光景を思い返します。
京都から東京までの約2時間強。駅で購入したお茶を飲みながら、カメラに収めたたくさんの写真を見返しているうちに、あっという間に東京の喧騒へと戻ってきました。非日常の穏やかな時間から、いつもの日常へと繋がる新幹線の旅。天橋立という素晴らしい場所での思い出を胸に、今回の旅を無事に締めくくりました。

